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執行委員長あいさつ

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年度はじめにあたって

~教職の魅力向上に向けて~

 

 あたたかな日差しの中、令和6年度が始まりました。3月末には慣れ親しんだ人たちとの別れを惜しみつつ、新たな出会いの中で忙しい日々をお過ごしのことと存じます。昨年の5月には新型コロナウイルス感染症が5類感染症へ移行し、様々な活動が、コロナ禍以前の形で実施できるようになりました。コロナ禍の中で見直された行事も多かったのではないでしょうか。生徒たちにとって真に必要なものを選択し、発展させることで、学校の魅力化・特色化につながると考えます。
 私たち愛媛高教組執行部は新しく副執行委員長と3名の執行委員を迎え、新年度のスタートを切りました。今年度も県立高等学校、中等教育学校並びに特別支援学校における教育の振興と充実をめざして努力してまいりますので、引き続きご支援・ご協力をお願い申し上げます。
 今年は、年明け早々に能登半島での地震や空港での事故など、非常に衝撃的なニュースから始まりました。経済においては、長引く不安定な世界情勢などの影響から、物価の上昇が家計にも大きな打撃を与えています。そのような中でも、インバウンド需要の回復や日経平均株価の記録的な値上がり、春闘での相次ぐ満額回答など明るい兆しも見えています。スポーツにおいても、昨年9月には、男子バスケットボールが48年ぶりに自力でパリオリンピックの出場権を勝ち取りました。そのほかの競技でも出場権獲得に向けた予選が行われています。中には高校生で出場権を獲得する選手も現れるなど、明るい話題が尽きません。また、野球やサッカー、バスケットボール、バレーボールなど欧米が本場といわれるスポーツにおいても日本人がトップレベルで活躍する時代になっています。この背景にはスポーツ界におけるデータサイエンスの進歩があると感じます。試合中にデータを分析し、その分析結果がリアルタイムで伝えられ、的確な指示やプレーにつながっています。グローバル化や情報技術の進展など、誰でもどこにいても最新の技術を学ぶことができる時代です。社会の変化に合わせて、学校現場も変わる必要があります。未来を生きる子どもたちには、もっと先を見越したサポートが必要なのかもしれません。
 一方教育界においては、教員の働き方が注目される中、昨年8月には中教審から「教師を取り巻く環境整備について緊急的に取り組むべき施策(提言)」が出され、平成31年の答申に、働き方については国、教育委員会、学校の主体的な取組が必要である旨が追加されました。教職の魅力向上に向けて、学校が担う業務にかかる3分類(「基本的には学校以外が担うべき業務」「学校の業務だが、必ずしも教師が担う必要のない業務」「教師の業務だが、負担軽減が可能な業務」)の徹底を図るために、働き方改革の取組状況を把握し、課題と改善のイメージを共有することが求められています。授業時数や学校行事の見直しには、教師一人ひとりがカリキュラム・マネジメントの充実に努めることが重要です。特に学校行事においては慣例的に行っている部分を見直すとともに行事間の関連や統合を図るなど、行事の精選・重点化や準備の簡素化・省力化等を進める必要があります。そのほかにも学校と保護者等間の連絡手段のデジタル化、生成AIの校務への活用推進等に取り組み、確実に働き方改革を進めていかなければなりません。
 また、教員不足も危機的な状態です。教職の魅力は、児童生徒の成長に直接携われることにあると思います。しかし日々の業務に追われ、児童生徒と向き合う時間が減少しています。われわれが関係各所に要望し続けている「教職員定数の改善」が実現することで一人ひとりの業務負担が減り、児童生徒と向き合う時間の確保につながります。これまで教職員の献身性に支えられてきた取組の在り方についても議論を重ね、教職員のワーク・ライフ・バランスの充実へつなげていかなければなりません。さらに私たち自身も自分事として環境整備に真剣に取り組まなければなりません。
 愛媛県においては、県立学校振興計画が本格的に始まり、激動の時期を迎えています。デジタル人材の育成や学校の魅力化・特色化に向けた取組、部活動改革など、日々の業務に加え、新たな取組への対応に苦労されている方が多いのではないでしょうか。今年度の県教育委員会の予算案の中には、EILSと連携した自動採点システムの導入や県立学校へのスクールソーシャルワーカーの配置など、われわれ愛媛高教組が要望してきた内容が盛り込まれ、現場の負担軽減が期待される成果も上がってきています。われわれ教職員が心身ともに充実し、生き生きとした姿で児童生徒に接することが、教職の魅力向上につながります。引き続き、愛媛高教組は教職員の待遇改善に向けて全力で取り組んでまいります。
 愛媛高教組は、分会役員の方々を中心とした加入促進の働きかけによりまして、他県や他団体の組織と比べても高い加入率を維持しております。これからも「不偏不党」「是々非々」の立場を堅持し、組合員の皆さまからいただいた貴重なご意見をもとに、関係各所にしっかりと働きかけてまいります。今後とも変わらぬご支援・ご協力をお願い申し上げ、年度初めのご挨拶とさせていただきます。

愛媛高教組 執行委員長 菊池 康太 

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